<< [紹介]松井聖子 | main | 最終リハ合宿開始! >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

Read in English >>
| - | | - | - | pookmark |
[コラム]ヴィクトリア朝のミュージックホール
ある種の世界観を舞台上に凝縮して表現する演劇では、役者の演技や衣装、舞台装置に加えて音楽が非常に重要です。『夏の夜の夢』の音楽で有名なのはやはりメンデルスゾーン、特に「結婚行進曲」などは皆さん一度ならず耳にしたことがあるでしょう。ケンブリッジ大学ペンブルックプレイヤーズによる『夏の夜の夢』でも、音楽に工夫が凝らされています。作曲家兼音楽監督のフィン・ビームス君に音楽面でのコンセプトについて説明してもらいました。

ちなみに、フィン君が挙げているミュージックホールは、元々は芝居や音楽などの娯楽を提供する「フリー・アンド・イージー」と呼ばれたパブから発祥しています。1843年の劇場法改正を受けて登場し、1878年時点でグレイター・ロンドンには347箇所、大きいものでは二万人収容のホールもありました。労働者を代表とする大衆文化の殿堂となり、世紀末には好戦的愛国主義とも訳されるジンゴイズムの高揚を支えていました。(詳しくは井野瀬久美惠『大英帝国はミュージック・ホールから』参照)

line


ヴィクトリア朝のミュージックホール: 作曲のインスピレーション

19世紀の間に、娯楽を楽しむ方法は急速に変化していました。声を押し殺した観客が、今ではキャバレーや寄席とでも呼ぶような、ミュージックホールの席という席を埋め尽くしていたのです。パブや飲食店とは別に、流行歌や世界中のコメディ劇、古典劇の抜粋などを楽しみながら観客が食事や飲み物を注文できるように、小さなテーブルがひしめく巨大なホールが登場しました。『夏の夜の夢』もまた、まさにそうしたミュージックホールで演じられていたであろう演目の一つです。

私たちが演じるシェイクスピアの古典劇はこのミュージックホール人気の絶頂期を舞台に据えており、私は劇音楽を担当するにあたって当時のスタイルを特に参考にしています。明るく騒々しい、ノリの良い歌がヴィクトリア朝の観客に好まれていましたが、[現実と夢の世界が交錯する]劇のより流動的な要素を表現するため、私は今となってはあまり知られていない当時の流行を取り上げることにしました。ミュージックホールでの演目は、しばしば突飛で、耳に残り、エキゾチックなものでもありました。ヴィクトリア朝の大衆が世界に目を向けるにつれ、異国のものは何であれ直ちに人気を得、見る価値のあるものと見なされたのです。当然の如く、多くのイギリスの芸術家は客を引きつけるためにより魅力的な異民族の装いを取り入れました。しかしながら、今これらの演目を振り返ってみると、そこにはそこはかとない悪意が見てとれます。植民地化と帝国が未だ世界を覆う時代にあって、これら芸術家たちに真似される人々の正当な権利と彼らが値する尊敬には、人々は目をつぶっていたのです。それはちょうど『夏の夜の夢』に登場する恋人たちがオーベロンの花によって目を眩ませられたかのようでした。

そこで、ミュージックホールのあらゆる興味深い要素と私たちが扱う『夏の夜の夢』のテクストを取り入れるため、私は様々なスタイルを混ぜ合わせた音楽を用いることにしました。それは、薄気味悪くて陽気な、穏やかでありながらどこか落ち着かない、といったものです。その当時に作られた曲を用い、また編曲や補足することによって、ある種独特な音楽シーンを創り出すことができるのではないかと願っています。そうした音楽は私たちがヴィクトリア朝の劇場へと浸りつつ、かつての娯楽がどのようなものだったであろうかという現代的な視点を保つことを可能にするでしょう。半面に笑顔を浮かべつつ、半面でしかめっ面をしながら歌われるたぐいの歌−それはたぶん、少し夢に似ていたのかもしれません。

(作曲・音楽監督:フィン・ビームス、キングスカレッジ)


UK-Japan 2008 WEBサイトに記事掲載!
JUGEMテーマ:演劇・舞台
Read in English >> Music Halls in the Victorian era: An inspiration for music composition

During the 1800s, access to entertainment was changing rapidly. Hushed audiences packed into rows of seats were making way for the Music Hall – what we might now call cabaret or variety. Out of public houses and eateries grew great rooms crowded with little tables where spectators could order food and drink whilst watching popular songs, comedy acts from around the world and excerpts from classic plays. A Midsummer Night's Dream is just the sort of show that might have been used in Music Hall.

Our version of Shakespeare's classic is set at the peak of Music Hall's popularity, so I have taken that style as my main inspiration for the musical design of the show. Bright, raucous and rousing songs were among audiences' favourites in the Victorian era, but I have decided to pick up on lesser-known trends of the time in order to support some of the more uncertain elements of the play. Music Hall acts were also often quirky, haunting and exotic – as the Victorian public opened their eyes to the world, anything from overseas soon became hot property and extremely watchable. As such, many British artists feigned more alluring nationalities in order to pull in the punters. However, looking back at those acts now, there is a sinister air to them – with colonization and the Empire still hanging over the world, there was a blindness to the rightful liberty and respect of those peoples the artists were impersonating – just as the lovers in A Midsummer Night's Dream are blinded by the Oberon's flower.

I have therefore decided to use a mixture of styles – spooky and upbeat, calming and unsettling – in order to pick up on all the interesting elements of Music Hall and the text we're working with. By using some original material from the time and adapting and adding to it, I hope to create a unique musical picture which helps us dive back into the Victorian theatre and yet retain our modern view on how entertainment used to be – the kind of song that is sung half with a smile and half with a grimace – perhaps a little dream-like.

Composer/Music Director: Finn Beames, King's College
| コラム | 22:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
Read in English >>
| - | 22:25 | - | - | pookmark |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://cuppjt.jugem.jp/trackback/61
トラックバック
For English readers
"Shakespeare on the other side of the Globe..." Cambridge University Pembroke Players Japan Tour 2008 will perform "A Midsummer Night's Dream" around Japan. The link at the bottom of each article will lead you to the English version. Please forgive any inconveniences, articles are being translated backwards one by one... List of ENGLISH articles.
PROFILE
ポスター小
シェイクスピア劇を通じた日英交流を目指す、ケンブリッジ大学ペンブルックプレイヤーズの今年の来日公演は「夏の夜の夢」。本公式ブログでは公演情報だけでなく舞台制作等裏話も提供していきます!どうぞお楽しみに!   mail
CALENDAR
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
にほんブログ村
ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 演劇ブログへ にほんブログ村 演劇ブログ 劇団・役者・裏方へ にほんブログ村 演劇ブログ 演劇(観劇)へ にほんブログ村 英語ブログへ にほんブログ村 英語ブログ 国際交流へ
UK-Japan 2008
モバイル
qrcode
LINKS
SPONSORED LINKS